斉藤章佳『男が痴漢になる理由』
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新刊書籍
イースト・プレス
2017年8月16日
四六判
240ページ
痴漢は、依存症です。痴漢の多くは、勃起していない。痴漢の多くは、よき家庭人である。
加害者を見つめ続ける性犯罪・依存症の専門家が、
社会で大きく誤解されている「痴漢の実態」を解明し、その撲滅を目指す!
これらの“痴漢像”、すべて誤解です!→「痴漢は女性に相手にされない、さみしい男である」
「性欲をコントロールできないから、痴漢に走る」「肌を露出した女性は、痴漢に狙われやすい」
「電車内に防犯カメラを搭載すれば、痴漢は減る」「痴漢よりも、冤罪事件が問題だ」。
【目次】
はじめに
第1章 四大卒、会社員、妻子あり──痴漢はどういう人間か
痴漢は日常のなかで起きる、もっとも身近な性犯罪
痴漢行為がもっとも多く発生している場所とは?
痴漢の認知件数は、現実と大きくズレている
世界に知られる「Chikan大国・日本」
なぜ満員電車で日常的に痴漢が横行するのか?
痴漢をはじめとする性犯罪者はどんな人間か?
12年の蓄積から見えた“痴漢パーソナリティ”
「性欲が強いけどモテない男性」像は的外れ
第2章 多くの痴漢は勃起していない──加害行為に及ぶ動機
依存症は“だらしない人”が抱える病ではない
「性嗜好障害」と「セックス依存症」との違い
痴漢が陥る「行為・プロセス」依存の特徴
犯罪化する性嗜好障害には専門の治療が必要
痴漢行為を過度に「病気」扱いしてはならない
人は何をきっかけに痴漢行為に目覚めるのか
痴漢を目撃し、自分も痴漢する─連鎖の恐怖
痴漢は性欲解消を目的とし、女性に触るのか?
性風俗店で発散できれば、痴漢しないのか?
仕事、人間関係……平凡な悩みが痴漢のきっかけ
持病に苦しむ高校生が痴漢行為をはじめた理由
優越感─痴漢がそれを求めてしまう社会的背景
ストレスへの対処が下手だから生きづらい
第3章 「女性も喜んでいると思った」──共通する認知の歪み
「スイッチが入り、無意識のうちに痴漢した」
性犯罪者は「認知の歪み」を隠し持っている
社会に根強く残る性差別が痴漢に与える影響
歪んでいるのは、痴漢をする男性だけなのか?
「痴漢をしてもOKの女がいる」という歪み
痴漢行為をやめることで、失ったものとは?
スリルとリスクがともなう“娯楽”としての痴漢
痴漢のターゲットは、派手めの女性ではない
ターゲット選びに見える、いじめとの共通点
女性の恐怖心を熟知したうえで、犯行に及ぶ
第4章 やめたくても、やめられない──亢進される加害行為
「AVを観て自分も同じことをしてみたかった」
むしゃくしゃした気持ちでマスターベーション
再犯防止のためマスターベーションを管理する
インターネットと性犯罪は切っても切れない関係
痴漢同士が自慢し合う掲示板による悪影響
痴漢行為をやめられない自分に苦しくなる
痴漢の加害者がすぐに起訴されないカラクリ
「示談金」を痴漢はどうとらえているのか?
逮捕されてさらに強まる「認知の歪み」
第5章 反省も贖罪もない加害者たち──断トツに高い再犯率
何度服役しても、痴漢をやめられない男たち
性犯罪のなかでも特に再犯率が高い「痴漢型」
前科が増えるたびに、痴漢による達成感が増す
裁判に出廷し「再犯防止」の可能性を訴える
加害者は自分がしたことを都合よく忘れる
加害者にとっての「反省」とは何なのか?
加害者が書く謝罪の手紙には心がこもっていない
反省を強いるのは逆効果、まずは行動を変える
受刑者たちが受けるプログラムの効果と実態
釈放後に彼らが戻るのはトリガーだらけの社会
第6章 痴漢しない自分に変わる方法──再犯防止治療の現実
「性犯罪者は一生刑務所に」がなぜ不可能か
社会のなかでの再犯防止における、三本の柱
初診時に危険度を分類して、プログラムを開始
加害者が通う、週6日の集中的治療プログラム
自分を開示し仲間と話すことで、回復を目指す
社会生活で遭遇するリスクを自分で管理する
受講者が治療中に陥る“慢心”と“マンネリ”
治療をドロップアウトする危険なタイミング
回復し、認知の歪みがほころびたときの変化
第7章 離婚しない妻、自分を責める母──加害者家族への支援
男が逮捕されて、妻、母、父は加害者家族になる
「痴漢しなければいい夫」と離婚しない妻たち
何年経っても妻は夫が逮捕された日を忘れない
痴漢をしていた夫との夫婦生活はどうなるのか?
「お前の育て方が悪かった」と責められる母
何をしていいかわからず宙ぶらりんになる父
大切な人を再認識したとき、人は変われる
第8章 「STOP!痴漢」は可能なのか──痴漢大国からの脱却
女性の「通報できない」を、社会的に解決する
痴漢を見ず、冤罪事件だけに怯える男性たち
男性は、痴漢被害への想像力が欠如している
カネ目当ての女が冤罪を仕掛けるという発想
痴漢を1件でも許さない社会に向けての具体策
斉藤章佳(さいとう・あきよし)
精神保健福祉士・社会福祉士/大森榎本クリニック精神保健福祉部長。
1979年生まれ。大学卒業後、アジア最大規模といわれる依存症施設である榎本クリニックにソーシャルワーカーとして、アルコール依存症を中心にギャンブル・薬物・摂食障害・性犯罪・虐待・DV・クレプトマニアなどさまざま々なアディクション問題に携わる。その後、2016年から現職。専門は加害者臨床で「性犯罪者の地域トリートメント」に関する実践・研究・啓発活動を行っている。また、大学や専門学校では早期の依存症教育にも積極的に取り組んでおり、講演も含めその活動は幅広く、マスコミでもたびたび取り上げられている。
著者に『性依存症の治療』、『性依存症のリアル』(ともに金剛出版/共著)がある。その他、論文多数。
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